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検査室見学ツアー

福島県立医科大学附属病院

※施設名、役職名等は、見学当時のものです。

リアルタイムに結果情報を発信し、診療支援を充実

Ⅰ. はじめに

福島県立医科大学附属病院は、1995年に特定機能病院として公立大学病院では第一号となる指定を受けました。2007年には福島県の都道府県がん診療連携拠点病院として指定を受け、地域医療の連携を強化、2008年に開設した救命救急センターでは、東北初となるドクターヘリの運航も開始しました。高度医療を提供する県民医療の中核的な病院としての機能を担い、医療レベルの向上と県民の福祉に貢献しています。

<福島県立医科大学附属病院 概要>

所在地: 福島県福島市光が丘1
http://www.fmu.ac.jp/byoin/index.php

診療科目: 循環器内科、血液内科、消化器内科、リウマチ・膠原病内科、腎臓・高血圧内科、糖尿病・内分泌代謝内科 、神経内科、呼吸器内科、呼吸器外科、消化器・一般外科、乳腺・内分泌・甲状腺外科、小児外科、低侵襲・最先端外科 、脳神経外科、整形外科、心臓血管外科、形成外科、産科、婦人科、小児科、眼科、皮膚科、泌尿器科・副腎内分泌外科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、心身医療科、放射線科、麻酔・疼痛緩和科、歯科・歯科口腔外科、救急科(29科)
病床数:778 職員数:1,425

山口大学医学部附属病院

Ⅱ. 検査部の概要

人員構成(2009年2月現在)

検査部部長 1名
検査部副部長 1名
助教 2名
臨床検査技師(常勤) 37名
(うち1名内視鏡診療部へ派遣)
臨床検査技師(非常勤) 1名

平成19年度(2007年)の検査数

 
一般 132,388
血液 257,660
微生物 36,058
免疫血清 66,504
生化学 1,606,353
生理 35,819
血液ガス 9,526
緊急 178,495
合計 2,322,803

福島県立医科大学附属病院 検査部では、2008年1月以来、臨床検査情報システム[CLINILAN LRP Suite] をお使いいただいております。検査部技師長 山端 陸夫 氏と主任医療技師 平木 宏幸 氏にお話しを伺いました。

山端技師長 平木氏

山端技師長平木氏

Ⅲ. CLINILAN LRP Suiteの導入

LIS構築図

CLINILAN LRP Suiteの導入

拡大

検査室のようす

検査室のようす

■ LISの使用履歴

1999年4月
前 臨床検査情報システム導入
2008年1月
CLINILAN LRP Suite導入
構成: GL-2(検体検査)、ICS(感染症管理)、Zone-2(個別検体データ検証)、Web-2(検査結果照会)、LM(検査室管理支援)、RefDB(検査情報データベース)

■ CLINILANへの更新と導入

CLINILANサーバー
CLINILANサーバー

山端技師長「前システムの耐用年数が経過して、使用している機器やシステムを統合できる検査システムを導入しようと検討を始めました。多くの欲しい機能を搭載するにはオーダーメイドでシステムを構築した方が良いと考えましたが、費用面や検査部の負荷が大きいため、パッケージシステムでの検討を始めました。CLINILANはパッケージでも要望の9割方を実現できそうなこと、サブモジュールに感染症情報のシステムを持っていることがわかり、CLINILANを導入するに至りました。予算がついてから1年未満と短期間での導入になりましたが、希望通りに機器やシステムを統合できました。
今回のシステム更新プロジェクトは、次回の更新時にもスムーズな更新を行えるように若いサブリーダーや主任クラスの人に担当してもらいました。
患者サービス向上のための診療支援となる良質な医療情報の提供ができ、検査データの質の管理、迅速報告、感染情報の発信、コスト管理などを総合的に実現できるシステムとなりました。」

■ CLINILANを選択した理由

平木氏「繰り返しになりますが、私たちはシステムに対して細かな部分にまで機能の要望がありました。それらの多くを実現できるCLINILANを選択しました。
良い機能の1つめは、視覚的、直感的に操作でき、多くの人がすぐ使えるようになることです。2つめは、マルチワークシートです。前システムではディスプレイ上に重ねた画面を切替えたり閉じたりと操作が煩雑でした。今は画面を1枚出しておくだけで必要な情報を一通り確認できますし、データを管理・確認するのに、細かな情報を見逃さずに作業できます。3つめは、TAT(Turnaround Time/検査所要時間)の管理です。マルチワークシート上に検査の経過時間が表示されますので、各検体の検査進捗状況を確認しながら作業できます。

■ CLINILAN導入による効果

平木氏「FeliCaを使って、システムを操作した記録を残せるようになりました。また、パニック値、前回値の設定をしましたので、ベテランや若手など誰でも同じように値を判断できるようになりました。今後はCLINIEEL Zone-2(個別検体データ検証システム)を使って検査実績に基づく判断を取り入れ、さらに再検率を下げられればと考えています。」

山端技師長「メンテナンス性が良くなりました。前システムはユーザーサイドで設定の変更をできないため、数項目のパラメータを直すのにメーカーへ高額な費用を支払ってきました。CLINILANは外注項目やパラメータの追加・変更など、ユーザーサイドで設定が可能で、比較的楽な作業で、費用をかけずにメンテナンスしています。」

※CLINIEEL Zone-2は検査実績に基づき再検率を最適化します

■ 画像のファイリングと結果報告

血液検査
血液検査

平木氏「以前は画像報告ができなかったので血液や尿などの視覚的な情報は言葉で伝えるしかなく、必要があれば医師に検査室へ見に来て頂きました。今は画像を保存して、臨床側へリアルタイムに送信できるようになりました。」

山端技師長 「血液検査は画像と検査結果を一緒に見られますし、時系列で画像を見ることができます。また、医師がカルテを見ながら、簡単な操作で検査室にいるかのように検査結果を見られることは大きいです。
その他に、部内の勉強会をはじめ、今まではスライドを貸し出していたコメディカルや学生にも画像を簡単に見せることができ、役立っています。」

Ⅳ. FeliCaによる運用

■ FeliCaを導入した目的

カードリーダーとFeliCa
カードリーダーとFeliCa

平木氏「誰がどこで何を行ったかの操作記録(ログ)を残したかったのが一番の目的です。しかし、皆に確実にログを残してもらうには、簡単な認証方法でなければなりません。A&Tからの提案では、電波を使って認証するRFIDとカードをタッチして認証するFeliCaの2種類がありました。当検査室の運用ではFeliCaの方がより確実に行えると考え、FeliCaでの認証を採用しました。」

■ FeliCaでのログイン方法

パソリを胸元のネームホルダーにあててログイン
パソリを胸元のネームホルダーにあててログイン

平木氏「職員カードのネームホルダーにFeliCaを入れている人がほとんどです。職員カードはFeliCaではないので干渉しません。普通であればネームホルダーをカードリーダー(パソリ)に近づけて認識させると思いますが、私たちはその逆で、パソリを胸元のネームホルダーにあててログインしています。そのため、パソリはケーブルが長いものを採用しています。」

■ FeliCaの運用方法

平木氏「ログインとログアウトでFeliCaを使うのでは2回手間がかかって徹底してもらえないと思い、時間を決めて自動でログアウトするように設定しました。端末から離れて時間が経つと自動的にログアウトしますので、戻った時にはログインせざるを得なくなります。その設定のおかげで、ログインとログアウトは確実に行われています。自動ログアウトまでの時間は、各業務内容にあわせて端末ごとに設定を変えています。
また、ユーザーごとに操作権限を設定し、メニューも制限しているため、セキュリティもより保たれるようになりました。」

権限の設定

ユーザー 権限
各部屋キャップ マスタの変更ができる
一般職員 精度管理、設定の変更ができる
非常勤、外注 結果の参照と変更までができる
受付、別部門 参照権限のみ
ゲスト 匿名化して表示

■ FeliCaを導入した成果

平木氏「ある事例で、結果をなぜ変更したのかを確認する必要が生じました。1ヶ月近く経った結果でしたが、ログを確認して、誰がどう結果を変えたのかがわかり、役立ちました。また、スタッフの業務に対する意識も変わったのではないでしょうか。以前は各人の操作記録をシステム上に残していなかったので、実質匿名の状態でした。現在は名前でログインしていますので、結果を扱う意識に多少なりとも変化が出て、責任感が高まったと思います。」

Ⅴ. 感染症管理システムの更新

CLINILAN LRP Suiteの導入と同時に、感染症管理システムをCLINILAN ICSに更新しました。専門医療技師 佐藤 敏夫 氏にお話しを伺いました。

■ CLINILAN ICSの導入効果

微生物検査
微生物検査

佐藤氏「CLINILAN ICSを導入してからは、前システムで大変だったことが楽になり、結果を報告するときの気苦労がなくなりました。

  • ・旧システムでは薬剤感受性検査の結果を確認するために、ID番号を毎回入れて確認していました。特に検出菌の耐性化傾向がわかりづらかったので、今は時系列で見られるようになり便利です。細菌検査結果情報だけでなく、検体検査の結果をあわせて簡単に報告できることも気に入っています。
  • ・特殊な菌や耐性菌が検出されたときに、いくつかの条件にあてはまると色を変えて表示するようにロジックを組んでもらいました。結果を見る側にとって、とてもわかりやすくなりました。
    微生物検査
  • ・感染情報レポートを院内感染対策委員会(ICC)に定期的に提出していますが、その資料を簡単にまとめられるようになりました。
  • ・以前は、主治医から感染制御の先生にコンサルテーションの依頼があった場合、感染制御の先生は検査部に検査結果と、関連の感染情報を問い合わせてきました。それに対し、紙で回答していたので時間がかかりましたが、現在は感染制御の先生が直接Web画面で確認し、検査室に問い合せる必要がありませんので、素早く対応できるようになりました。」

■ CLINILAN ICSの院内感染Webシステム

佐藤氏「細菌検査結果が送受信されないトラブルがあったときに、電子カルテ上では結果を参照できませんでしたが、院内感染Webシステムでの結果参照はできました。Webシステムにしていたおかげで臨床側へ迷惑をかけずに済み、導入して良かったです。 結果の参照は、患者さんごとに時系列で瞬時に閲覧できますし、同定検査結果の菌名をクリックすると特徴などの菌種情報を閲覧できます。研修医や学生の研修にも役立ち、分からないことを視覚的に確認できて良いです。今後は、グラム染色画像など色々な情報を提供して、より視覚的にも訴えていきたいです。」

■ 機能面での要望

佐藤氏「主治医が検査結果を閲覧したかどうかがわかると良いと思います。医師に見て欲しい結果が出たとき、特に血液培養が陽性の場合には、主治医がつかまるまで電話をかけつづけます。」

Ⅵ. 改善への取り組み

山端技師長「改善の大きな契機となったのは平成18年度の法人化でした。独立採算性となったために試薬や消耗品をはじめとするコストの削減、患者サービスの充実など、様々な改善に取り組み、検査部の存在意義を高める努力をしてきました。病院全体に対して検査部が何を行っているのかを目に見えるかたちで見せることが大切です。
例えば患者サービスでは、中央採血室で検査部と看護部が採血を行っていますが、そこでの患者さんの満足度を独自にリサーチしています。予測から混み合いそうな日であれば検査部から人員を充て、待ち時間をいかに短くするかを追求しています。また、採血待ち時間の予測を画面に表示して患者さんに知らせたり、待ち時間が長くなってしまう時のために本を置くなどアメニティも整えています。
他にも、業務効率化や試薬の見直しなど、改善することがあれば何でもワーキンググループを立ち上げ改善に取組んでいます。」

中央採血室の採血ブース
中央採血室の採血ブース

採血の呼び出し表示待ち時間も表示している
採血の呼び出し表示待ち時間も表示している

Ⅶ. 検査部部長より

検査部部長 感染制御部部長 金光 敬二 氏
検査部部長
感染制御部部長
金光 敬二 氏

「いま、医療機関には地域格差のない安心安全の医療の他に経営改善、接遇、リスクマネージメント、院内感染対策と多くのものが求められています。これらは共通して検査部にも要求されています。当院でも受付での患者対応、採血までの待ち時間、迅速な検査結果の報告、情報管理、適正在庫管理など多くの課題を抱えています。しかし、これらに対応する十分なリソースはなく、効率よい検査業務の遂行が必要になります。メイテナンス性の良いCLINILANを使用することによって画像を含めた情報を臨床側に迅速に報告できるようになりました。
また、微生物検査室には院内の検出菌など多くのデータが蓄積されています。これらのデータを再編成し、平成20年に新設された感染制御部と協力し合って、感染制御のために運用することが可能です。臨床検査技師にとっても感染制御は、新たな活躍の場になると考えています。」

中央検査部の案内と取材許可をくださいました、金光部長をはじめとする福島県立医科大学附属病院の皆様に、心より御礼申しあげます。