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検査室見学ツアー

飯塚病院

※施設名、役職名等は、見学当時のものです。

迅速性と信頼の確保を目標に

Ⅰ. はじめに

飯塚病院は、開設者である麻生太吉翁の「郡民のために良医を招き、治療投薬の万全を図らんとする」との精神を受け継ぎ、”We Deliver The Best. ~まごころ医療、まごころサービス~”という経営理念のもと、筑豊一帯の市民の病院として発展してきました。
平成元年(1989年)には臨床研修病院に、平成17年(2005年)には地域医療支援病院に承認されており、治療成績の向上や医療機能の高度化・効率化を図り、医療を取り巻く環境の変化に迅速に対応しています。

<飯塚病院 概要 >

所在地: 福岡県飯塚市芳雄町3-83
TEL:0948-22-3800
http://aih-net.com/

診療科目: 内科、肝臓内科、消化器内科、呼吸器内科、内分泌・糖尿病内科、血液内科、心療内科、総合診療科、膠原病・リウマチ内科、循環器科、腎臓内科、神経内科、漢方診療科、画像診療科、小児科、外科、小児外科、産婦人科、整形外科、脳神経外科、心臓血管外科、皮膚科、形成外科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、呼吸器外科、精神神経科、歯科口腔外科、リハビリテーション科、麻酔科、病理科、救急部、消化器外科(34科・部)
病床数:1,116 職員数:1,730

飯塚病院

Ⅱ. 中央検査部の概要

人員構成(2007年12月現在)

医師 2名
臨床検査技師 45名
非常勤臨床検査技師 1名

中央検査部ホームページ

検査数(2007年4月~2008年3月)

尿・一般 107,219 免疫血清 110,867
血液・凝固 493,276 病理・細胞診 17,672
生化学 3,632,315 生理 53,205
内分泌 699,943 腫瘍マーカー 88,527
細菌 18,304 薬毒物 13,074
合計 5,234,402

飯塚病院 中央検査部では、1997年以来 検体検査自動化システム(LAS/CLINILOG)と 臨床検査情報システム(LIS/CLINILAN)をお使いいただいています。その後、2006年10月に両システムを更新されました。桑岡副技師長にその目的と効果についてお話しを伺いました。

桑岡副技師長

桑岡副技師長

Ⅲ. システム更新の目的

「初めてLASを導入した1997年以来、検体数は年々増加し、2005年には導入当初の約1.7倍になりました。そのため検体数がシステムの処理能力を超え、検査結果の迅速報告に支障をきたしていました。また、導入から8年経過したことで、機器の老朽化も否めませんでした。この2つがLAS・LISの更新を決めた大きな理由です。」

Ⅳ. 目標の設定

「臨床側へのアンケート調査などによって、中央検査部の現状や問題点をまとめました。その結果、検査結果の正確さやさらなる迅速報告が求められていることがわかりました。
これらを踏まえ、2006年度には “迅速性と信頼の確保” を検査部の中期目標に掲げ、システムだけでなくLASに接続していない分析装置についても検討し、検査室全体の運営について見直しました。システム更新後もさらに充実させて行こうと考え、2007年も引き続き目標としています。」

目標の設定

Ⅴ. 迅速性の確立

LAS(CLINILOG)構築図

LAS(CLINILOG)構築図

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システムマネージメントモジュール

システムマネージメントモジュール

■ 動線の短縮

「検査室のスペースや利便性を考慮した結果、LASは各モジュールをコの字型に配列し、結果を確認・確定するシステムマネージメントモジュールを中央に置きました。投入モジュールと回収モジュールが隣に並んでいることもあり、動線が短くなりました。作業者としてはストレスが減り、それに比例するようにミスも減りました。以前に比べ、安全面が確保されたと思います。」

■ LAS接続モジュール

LAS接続モジュール
分注モジュール 2台

「A&T協力のもとに何度もシミュレーションした結果、分注モジュールを2台にしました。処理能力が2倍になり、検体増加に十分対応できるようになりました。事前のシミュレーションは非常に重要だったと感じています。
生化学自動分析装置はJCA-BM2250LA Type(日本電子社)を3台接続しています。生化学検査の処理能力は1.5倍になりました。用手法で行っていた梅毒検査もJCA-BM2250LA Typeで測定することにより、余力が生まれました。また、試薬量が少量化され、コスト削減にもつながりました。
以前はオフラインで測定していた免疫検査の装置をLASにつなげました。全自動化学発光免疫測定装置ARCHITECT i2000(アボット社)を2台接続しています。肝炎ウイルスや腫瘍マーカー、ホルモンなどの検査数増加に対応できるようになりました。」

JCA-BM2250LA Type 3台
JCA-BM2250LA Type 3台

ARCHITECT i2000 2台
ARCHITECT i2000 2台

■ 血液検査の運用

「更新前は、生化学検査と血液検査の装置をLASに接続し一体化させていましたが、それぞれの検体投入口を隣接させることにより、血液検査をLASから外し独立させました。以前は、検体を投入する場所が同じでしたので1箇所にまとめられるというメリットがありましたが、生化学の装置がダウンした場合に、血液検査までも止まってしてしまうといった問題がありました。
現在、血液検査は総合血液検査システムADVIA2120(シーメンス社)で測定しています。今回、新たに自動塗抹標本作製装置ADVIA Autoslide(シーメンス社)を導入し、24時間いつでも塗抹標本が作製できるようになりました。敗血症などの診断では塗抹標本の確認が重要ですので、より確実な診断が可能となり効率的な運用ができるようになったと思います。」

■ 救急医療への対応

「救命救急センターがありますので、迅速性は重要です。検査を外注している項目もありますが、DPC試行病院でもあることから検査数がある程度増えると外注をやめ、院内で検査するようにしています。今回のシステム更新に伴って新規に導入した項目はMMP-3や intPTH、コルチゾールなどがあります。また、BNPやウイルス抗体検査を24時間対応とすることができました。これらのことにより患者様の再診が減り、薬の長期予薬にも対応できるようになりました。」

■ TAT(Turnaround Time)の調査

「システムを更新する前と後で、TATがどのように変化したのかを調査しました。生化学検査の場合、更新前は平均で約1時間22分かかっていたのが、更新後は約44分になりました。血液検査の場合、更新前は平均で約55分かかっていたのが、更新後は約33分になりました。どちらも大幅に時間が短縮していることが明らかとなり、より迅速な結果報告につながっていることが証明されました。」

検体が到着してから結果報告までの時間(生化学検査)

拡大

検体が到着してから結果報告までの時間(CBC検査:目視分は除外)

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※前回:2006年8月1日、今回:2007年8月6日

Ⅵ. 信頼の確保

検体到着確認
「当院は中央採血室がありません。それぞれの診療科で採血された検体は看護師やメッセンジャーと呼ばれる検体搬送者によって中央検査部まで運ばれます。受付では、搬送者による検体の到着確認を義務づけています。何か問題があれば検査部のスタッフに声をかけてくれますので、検体紛失などのトラブルは、ほぼゼロとなりました。」

検体受付
検体受付

■ 当直体制

「前述のとおり救命救急センターがありますので、検査は24時間行っています。当直帯(16:30~8:30)は2名+カテ宅直(心臓カテーテル検査発生時用の宅直)1名という体制で、検体検査と輸血検査を行っています。
当直のシフトを決める際は、心臓カテーテル検査ができる生理検査のグループと、それ以外のグループに分けて考えます。各グループから1名ずつ、交代で当直を担当してもらいます。当直帯に心臓カテーテル検査が発生し、さらに輸血検査も必要となった場合は検査が滞ってしまうため、カテ宅直を呼ぶことにしています。カテ宅直は生理検査グループの方にお願いしており、出動回数は2,3回/月ほどです。」

■ 新しいLIS

「新しいLISのマルチワークシートによって様々なオンライン分析機の検査データを一画面で閲覧できるようになりました。検査結果を見て結果の妥当性を考える時に、疾患別など一画面で様々なデータを確認して判断できることはとても重要です。
また、トレーサビリティの確立も信頼の確保には必要と考え、個人認証システムを導入しました。検査結果の改ざんを阻止し、検査結果が保証できるようになったと思います。」

■ 臨床側への結果報告

「HISのダウン時対策と臨床側の進捗状況モニターとして、いつでも検査結果を確認できるように臨床検査結果照会ソフトウェアモジュール(CLINIWeb-2)を導入しました。例えば、感染症の検査で陰性となった場合はすぐに結果を送信していますが、陰性でない場合でも”再検中”と表示するなど、検査状況をすぐに把握できるようにしています。臨床側の評価も高く、頻繁に活用されているようです。」

CLINIWeb-2 検査状況一覧画面

CLINIWeb-2 検査状況一覧画面

■ システム更新後の取り組み

「システムの更新で生まれる余力をもとにした更新後の目標を設定していました。更新から1年が経過し、遺伝子検査は感染症のみから病理、血液疾患へと拡大しました。チーム医療や研修への参加も増加しています。今後は、ISO15189の取得や臨床研究、メーカーとの共同研究を行うなどの目標を達成したいと思います。」

Ⅶ. 技師長より

「病院全体の理解と協力によりLAS・LISを更新することができ、この事が検査結果の迅速報告につながったのは、更新前後のTATを比較しても明らかです。検体数は年々増加していますが、日当直を含む検査業務の負荷は軽減され、ハード・ソフト両面でトラブルが減り、信頼性も確保されたと言えます。
今後は、技師自身が考え行動し、スキルアップにつなげていかなければなりません。更新をきっかけに、臨床からの要望でもあった新規検査項目の導入や、チーム医療への参加を積極的に行っていますが、職員一人一人も目標をもって業務に臨んでほしいと思います。ハードからソフトの充実へ、中央検査部の目標は、ISO15189です。2009年の取得を目指していますが、形だけになることなく、生理検査も含んだ自然にPDCAサイクルが回るような仕組みを作りあげたいと考えています。」

眞名子技師長
眞名子技師長

中央検査部の案内と取材許可をくださいました、眞名子技師長、桑岡副技師長をはじめとする飯塚病院の皆様に、心より御礼申しあげます。