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検査室見学ツアー

北野病院

※施設名、役職名等は、見学当時のものです。

人材育成も視野に入れた検査室の効率化

Ⅰ. はじめに

財団法人田附興風会医学研究所 北野病院は、京都大学医学研究科との連携のもと、治療の開発にむけた医学研究の機能を持つ総合病院で、昭和3年(1928年)に開設されました。大阪市北区のほぼ中心に位置し、地域医療の中核を担っています。

<財団法人田附興風会医学研究所 北野病院 概要>

〒530-8480 大阪市北区扇町2-4-20 TEL:06-6312-1221
http://www.kitano-hp.or.jp/

診療科目: 呼吸器内科、消化器内科、糖尿病・内分泌内科、血液内科、リウマチ膠原病内科、腎臓内科、心療内科、循環器科、神経内科、小児科、小児外科、神経精神科、外科(一般・消化器)、胸部外科(呼吸器・乳腺)、形成外科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科、産婦人科、眼科、皮膚科、泌尿器科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、放射線科、麻酔科 (26科)
病床数:741 職員数:1014

財団法人田附興風会医学研究所 北野病院

Ⅱ. 検査部の概要

詳しい情報は、検査部ホームページにてご覧いただけます。

人員構成(2005年12月13日現在)

医師 (検査部長) 1名
臨床検査技師(検体・生理・検診) 32名
派遣事務員 3名

2004年度の検査数(院内検査分)

生化学 2,243,174 免疫血清 182,054 薬物 3,698
尿科学 42,982 感染症血清 72,087 一般細菌 39,531
血液 170,676 感染症 7,863 抗酸菌 6,304
止血凝固 52,135 内分泌 39,144    
一般 130,609 腫瘍マーカー 38,712    
合計 3,028,969

北野病院 検査部では、1997年以来 臨床検査情報システム CLINILANをお使いいただいております。2004年12月には、検体検査自動化システム(LAS)が導入されましたので、 田畑技師長にその目的とその効果についてお話しを伺いました。

Ⅲ. LAS 検体検査自動化システム

LAS 検体検査自動化システム

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LAS 検体検査自動化システム

当システムの運用方法や導入効果については、”Open LA21プロジェクト サイト - 学会プレゼンテーション” に掲載の 下記プレゼンテーションをご覧ください。
第54回 日本医学検査学会 ランチョンセミナー
検体検査搬送システムの導入効果」田畑 宏道(北野病院 臨床検査部)

■ LAS導入のきっかけ

「新病院へ移転した2001年当時、LASはラック搬送タイプが主流で、1本搬送のLASはほとんどありませんでした。ラックでの搬送は大量処理の面では良いですが、当病院の規模には向かないと判断した経緯があります。その後、1本搬送で、1台の装置を扱うかのように運用できるOpen LA21モジュールシステム(CLINILOG Ver. 3)を知り、当検査部の求めていた運用が可能なことからLASの導入を決めました。」

左から、回収、投入、遠心、開栓、分注モジュール(2台)
左から、回収、投入、遠心、開栓、分注モジュール(2台)

■ 目指したこと

「現在、検体検査の人員は、生化学 1名、免疫血清 1名、搬送・用手法・受付等 2名で、おおよそ3~4名で対応しています。導入前は6名で、約半数になりました。「LASの導入=人員削減」のイメージもあると思いますが、そうではありません。検査部の基本的な人数”32名”の枠は変えることなく、1人1人にかかる負担を軽減させて、新たな知識や技術を学ぶための環境づくりを目指しています。」

■ フレキシブルな人員配置

「LASを導入する前、装置は個別に運用され、それぞれの担当者が作業に追われていました。なかでも、前処理・後処理は時間がかかり、検体を番号順に並べて冷蔵庫に保管する際の煩雑さ、装置に検体をセットする際に位置間違えが発生するといった問題を抱えていました。Open LA21モジュールは、1つのラインでつながり、1台の大きな装置のように運用できますので、多くの手間が必要なくなりました。さらに、生理検査は通常最少の人数で行っていますが、時間帯やオーダーの増加に応じて検体検査から手伝いに向かうなど、検体検査の仕事を主に行いながらも他の検査を手伝える余裕をつくることができました。」

LASに接続している504X(左)とTBA-200FR(中・右)
LASに接続している504X(左)とTBA-200FR(中・右)

■ 検査報告時間の短縮

「8:30を過ぎると、外来の緊急検体が届き始めます。以前は、緊急検体が来ると通常検体の測定を中断していましたが、Open LA21システムでは緊急検体が優先的に先へ先へと送られますので、早く届いた検体から待つことなしに投入しています。現在、緊急検体・通常検体ともに結果が出るまでの時間に大差はなく、病棟には”緊急”という考え方がありません。10:00頃にはほとんどすべてのデータが出ています。」

■ 追加検査の簡素化

「最近はセットの項目数が減っています。以前、生化学は1人あたり20数項目でしたが、今は10項目くらいです。導入前は、終わった検体を番号順に並べ、追加の依頼があると探し、追加の検査をしました。今は検体に収納ポジションがついているため、該当の検体を抜いてLASへ投入すれば完了です。LASを導入して収納ポジションができたことはとても大きいと感じています。」

■ 効率的な運用の追求

「LASへ投入する検体数は1日に1000本を超え、到着から40分で結果を返しています。到着した検体をためずに投入するとは言え、処理の遅い装置に大量の検体を送り込もうとしても渋滞を引き起こすだけですので、担当者が全体の流れを見て投入をコントロールします。 また、装置のトラブル時には、その装置の依頼項目がない検体を流す、もしくは、全検体を流してエラー排出された検体をもう一度流すなど、素早い判断が求められますので、当検査部では、システムの運用を熟知した人に検体の投入を任せています。
せっかくLASを入れたのになぜ人が考えなければいけないの?と思われるかもしれませんが、最大限の活用を追求するのであればそのくらいの制御が必要だと思います。」

検査室のようす
検査室のようす

中央採血室
中央採血室

■ 自動分析装置 504X

「検体の希釈測定を行っても処理速度が低下しない504X(A&T)を尿専用機として導入し、煩雑な尿測定の自動化を実現しました。」

■ LASに望むこと

「2006年4月のDPC導入後は、初検の項目数は減ることになり、初検結果を見た後に項目を追加することが増えると思います。検査後、ドクターがデータを見る前に、技師が判断して追加のオーダーをたてる運用を考えており、このような運用には、分析後に検体を冷蔵庫へ収納し、自動で再検査に戻す運用がベストです。血清量を自動で確認する機能の装備も望まれます。」

Ⅳ. LIS 臨床検査情報システム

LIS 臨床検査情報システム

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■ CLINILANの使用経歴

1997年:複数社のLISを比較してCLINILAN(OS2)を導入
2000年:入院でオーダリングが稼働、LISと接続
2001年:新病院へ移転の際にCLINILAN NTに更新、外来のオーダリングと接続
2004年:CLINILAN Ver.8に更新

■ CLINIEEL(出現実績ゾーン法)の導入

「すべての検査データを技師が見る必要はなく、どれだけ人を介さずにデータ登録を行うかが重要だと考えています。
例えば、半分はゾーン法の判定で自動登録して良いのではないでしょうか。人の判断のほうが信頼できると言われますが、たまたま気づいたから再検した、たまたま気づかなかったから再検しなかった、という検体もあると思います。人が確認すべきデータをきちんと見られる環境を、CLINIEELの導入によって作ることができます。
また、1日中1人で何百何千というデータを登録する作業は大変で、見落としの危険もありますので、業務内容に変化をつける意味で午後から生理検査を担当させるなどの対応もしています。」

CLINIEELの運用について、ゾーン法導入施設紹介にて詳しく紹介しています。

Ⅴ. 臨床との連携

■ 検査を理解してもらう

「医師、看護師は学校教育で検査のことをあまり習いませんので検査に詳しくありません。研修医には検査のカリキュラムを設け、1人3日程かけて、検査の各担当をまわってもらいます。経験あるドクターにも、当検査部で行っていることをきちんと説明し、理解したうえで臨床についてもらうようにしています。看護師の場合は、毎年約100人も入れ替わるのでそれができませんが、看護師のオリエンテーションに技師が出向いて2~3時間程の講義をしたり、要望によってデータの見方を実習するグループワークに参加しています。検査に関する教育を実施していない病院が多いと思いますが、当院では病院の教育カリキュラムに検査を入れ、必ず受講してもらっています。
また、日常的な活動として、技師が臨床現場へ足を運んで情報を収集し、臨床の求めに対応するようにしています。」

■ 臨床からの問い合わせ対応

「医師などの問い合わせには、検査実施者だけがわかることを除きすべて受付が対応していています。こういう検査をしたいが何と名前をつけたら良い?この検査はどのくらいスパンをあけたら良い?などの問い合わせにすべて答えています。検査部の要となるこの仕事は特別に訓練された常時2名が担当し、LASの運用担当と兼任のことが多いです。」

■ 臨床支援について

「感染症対策委員会、NST、糖尿病教室などに参加しています。検査業務を十分に遂行したうえでこれらの臨床支援を行っています。」

Ⅵ. 今後について

「私たちの検査部ではスキルアップのために、縦軸に人、横軸に業務を入れた表を作っています。例えばAさんができる仕事、生化学、血液、エコーにしるしをつけています。最終目標は全部できることですが、そこまでは難しいとしても、1つずつスキルを伸ばしてくれると、こちらとしては人の配置がしやすくなりますし、評価にもつながります。今は私が促していますが、将来的には、学会発表など自主的に目標を持って取り組んでくれたら検査部として良くなりますね。そのために、余裕をもって仕事ができる体制をつくっている段階です。」

田畑 技師長
田畑 技師長

検査部の案内ならびに掲載許可をくださいました、田畑技師長をはじめとする北野病院の皆様に、心より御礼申しあげます。