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検査室見学ツアー

高知医科大学医学部附属病院

※施設名、役職名等は、見学当時のものです。

伝説の”ザ・ベルトライン・システム”

Ⅰ. はじめに

杉浦教授/佐々木名誉教授/西田技師長
杉浦教授/佐々木名誉教授/西田技師長

1981年、いくつかの分析装置を検体搬送システムでつなぎ、LIS (Laboratory Information System)と組み合せてラボラトリーの総合的自動化システムを構築する世界最初の試みが、国立高知医科大学検査室で 佐々木前教授をリーダーとするチームにより行われました。
“ザ・ベルトライン・システム”と呼ばれる歴史的なLAS(Laboratory Automation System)の最大の特長はユーザー自身が設計製造し稼動保守するシステムであることです。
おそらく、国内では唯一のシステムとおもわれます。この伝説になったシステムと、そのチームに敬意を表し、検査室見学ツアー第一回は、高知医科大学検査室です。
高知と言うローカルな立地をものともせず、世界を導いた先進・先取の気風は次世代の杉浦教授のチームへと脈々と引き継がれていくご様子。臨床検査が曲がり角にある今、やはり目を離せないラボです。今回の見学ツアーでは、システム構築に際し、機械工作やハンダ付け、更にはソフトウェア開発など、自ら先頭を走った西田技師長・杉原副技師長・小倉主任技師・片岡主任技師にご案内していただきます。

Ⅱ. システム全体図

LASは、1981年以来、何度もの改修や増設、さらには分析装置のリニューアルなどを繰り返し、まだまだ現役ばりばりのシステムです。

LAS

LAS

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新LIS(1)

新LIS(1)

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新LIS(2)

新LIS(2)

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既に18年も稼動しているシステムが旧式化せずに現役でありつづけているのは、常に部分的な改修増設ができるシステムコンセプトと技術力があってのものです。高架方式の行先別ライン複合方式が基本となり、分析装置は出来るだけ二重化してあります。
LISは、IBM-S/1によるシステムを経て、世間でクライアント/サーバ方式コンピュータシステムの名称が一般的になる遥か以前から、LAN(Local Area Network System)による先進的コンピュータシステムが稼動していた数少ないラボのひとつです。しかも、LAS同様にユーザー自身で設計・プログラミング・保守がおこなわれてきました。現在、2000年対応作業とあわせて最新のシステム環境を使用したLISの構築が進行中で、年内には新しいシステムにリニューアルされます。C/S構造ソフトウェア、診断支援エンジン、Web環境、などの最新コンピュータ技術が実用化されます。

Ⅲ. 検体の流れ

■ 検体受付・外来採血

検体受付・外来採血

「10分以上お待ちの患者さんはお申し出ください」との表示は、今ではあまり見学者を驚かさなくなりましたが、”待たせない・・待たせる訳がない!”とする姿勢は、80年代前半では驚嘆に値する患者サービスの姿勢でした。

何のためにシステムを導入構築するのか・・との問いかけに明確なポリシーを持ち実践するラボであることがわかります。ここで、患者毎に患者確認・採血ラベル発行・採血・遠心・開栓の作業が行われます。
【西田技師長談】「遠心処理などは自動化していませんが迅速化はいうまでもなく、むしろ、検体の微量化、正確なサンプリングの確認、そして、対費用効果の点で良い結果になっています。ここは検査技師と看護婦が混在して、協調作業の場として業務を行っています。」

検体受付・外来採血

■ 検体振分け/自動ライン選択

検体振分け/自動ライン選択

ラックに載せられた各検体は、検体毎のバーコードを読取りその患者の依頼情報に基づきそれぞれの行先ラインへとラックごとロボット移載機構で載せられます。ラックは高架ラインの高さまで登りのベルトラインで運ばれ、検査室内の各目的場所まで高架ベルトラインで運ばれます。
【小倉主任技師談】「このライン選択移載ロボットは会心の作です。 各ラインの行先は、一般、血液、化学、血清、輸血、細菌のすべての検体検査です。」

■ 高架ベルトライン/エレベータ

高架ベルトラインで目的場所まで運ばれてきたラックは、エレベータで分析機の高さまで下ろされます。
【片岡主任技師談】「このエレベータは自作の8ビットCPUハードとソフトで制御されています。1981年の開発当初は開発ツールを購入する予算がなく、ハードロジックによる制御で対処していました。」

高架ベルトライン/エレベータ

■ 生化学検査ライン/グルコース分析

生化学検査ライン/グルコース分析

A&T社のGA02Uが組み込まれています。
この装置はLISオンライン端末と分析装置のコンソールが1台のパソコンに合体できています。
【片岡主任技師談】「この装置は、次世代LASの方向性を示す第1号機です。従来の分析装置は、専用アプリケーションで作られており、LISの端末を利用して分析装置の制御や操作を行うことができませんでした。次世代では、LASの通信の標準化により、このような省端末化は常識となることでしょう。」

■ 生化学検査ライン/生化学分析(1)

生化学検査ライン/生化学分析(1)

メインの生化学分析装置である日立7350です。複数化されています。 日立独自の5検体ラックを分析装置内に引張りこむ方式であるため、10検体ラックに合わせたベルトラインとの接合点で、この動画写真のように10検体ラックサイズに会わせる為の接合ダミーラックを切り離し、5検体ラックにして分析装置に送り込みます。
【小倉主任技師談】「ラックが標準規格化されているか、分析装置が外部サンプリング方式であったら、こんな馬鹿げたことをすることにはならなかったんですけどね。」

■ 生化学検査ライン/生化学分析(2)

サブの生化学分析装置である日立7070です。これも複数化されています。この分析装置は外部サンプリング方式であったため搬送システムとの接続が容易だったそうです。

生化学検査ライン/生化学分析(2)

■ 多関節ロボットによる電気泳動装置のLAS接続

多関節ロボットによる電気泳動装置のLAS接続

分析装置が外部サンプリング方式への対応など搬送システムとの接続を考慮した仕様でないために、このようなロボットハンドまでも使って接続をするしかなかったそうです。(高額なロボットハンドを使って外部サンプリング仕様にした。)

■ 血液検査ライン

血液検査ライン

血液検査ラインの下降エレベータの先には、シスメックス社HST搬送システムにオムロン社血液像システムが繋がっています。

■ 電解質検査ライン

酸塩基平衡についての強いポリシーのもと重炭酸も含めた測定を重視するところから、ベックマンコールター社のアストラが未だに現役で稼動しています。

電解質検査ライン

■ ロボットハンドによる感染症検査

ロボットハンドによる感染症検査

搬送ベルトライン・システム開発やLIS開発に次ぐ力をかけて開発されたものです。菌株接種後は全自動で薬剤感受性検査を行い、各抗生剤毎に細菌の発育阻止状態をグラフで報告しています。
【杉原副技師長談】「なにしろ生きもの相手ですから、清浄な環境の確保と、トラブルでも止めることができない・・・ 大変です!」

Ⅳ. 検体の自動化を支える

■ 自走者搬送(忍くんと耐ちゃん)

自走車による搬送も日本で最初です。2台の自走車、忍くんと耐ちゃんは1985年からひたすら走り続けています。

自走者搬送(忍くんと耐ちゃん)

■ 工作室

工作室

ボール盤、旋盤、フライス、万力、・・・、完全な機械工作室です。この工作室から自作のメカや制御(回路)装置が作り出されました。恐らく最初で最後となるであろうLAS自作の偉業を記念して佐々木前教授に写真に収まっていただきました。

■ 開発スタッフ

開発スタッフ

小倉主任技師/杉原副技師長/片岡主任技師

■ コンピュータ室

コンピュータ室

“ザ・ベルトライン・システム”はメカニカルなシステムであると同時に、コンピュータによって実現できたシステムです。本ラボは、16M/IBMトークンリングLANの医療界では日本最初のユーザーでしたし、Omninet-LANを利用したクライアント/サーバ型システムを既に1986年には稼動させたなど、常にコンピュータ技術の先端を走りつづけています。
現在も新しい取り組みとして、分散したデータベースを統合したデータウエアハウスを利用したデータマイニングシステムの構築を行なっています。(写真は新しいサーバー群)
【片岡主任技師談】「システムの構築は、終わりがないですねェ、・・・・・。」

■ ベルトライン・スタート・エリア(主検体検査部門)

【杉浦教授談】「佐々木先生の築かれた気風・技術を土台に、臨床検査の転換点にある今、次世代の新しい考え方の検査室へと進化する義務があると思います。また、これまでの研究成果を生かした標準規格の作成と国際的な展開が重要課題となるでしょう。」

ベルトライン・スタート・エリア(主検体検査部門)

ご案内と掲載許可をくださいました、杉浦教授、佐々木前教授、西田技師長をはじめとする高知医科大学の皆様に、心よりお礼申しあげます。