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検査室見学ツアー

高知大学医学部附属病院

Ⅰ. はじめに

高知大学医学部附属病院は、昭和56年(1981年)10月に開院しました。世界に先駆けて検査の自動化・システム化に取り組み、開院当時から検査部のスタッフが独自に製作・構築したLAS(検体検査自動化システム)・LIS(臨床検査情報システム)で検査を行ってきました。「やってみないと解らない。良いと思うことは先頭をきって」をモットーに、検査部内だけに留まらず病院全体としても新しいことや改善に積極的に取り組んでいます。

<高知大学医学部附属病院 概要>

所在地:高知県南国市岡豊町小蓮
http://www.kochi-ms.ac.jp/~hsptl/index.shtml

診療科目: 胃腸内科、肝・胆膵内科、内分泌・糖尿病内科、腎臓・膠原病内科、血液内科、呼吸器・感染症内科、老年病科・循環器科、老年病科・神経内科、小児科、神経科精神科、皮膚科、放射線科、消化器外科、形成外科、小児外科、乳腺・内分泌外科(旧外科1)、乳腺・内分泌外科(旧外科2)、心臓血管外科、呼吸器外科、麻酔科蘇生科、産科婦人科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、泌尿器科、歯科口腔外科 (27科)
病床数:605 職員数:866

高知大学医学部附属病院

Ⅱ. 検査部の概要

人員構成(2007年11月27日現在)

検査部長 1名
講師 1名
助手 1名
臨床検査技師
(常勤)
23名
(うち1名病理へ派遣)
臨床検査技師
(非常勤)
10名
(うち1名病理へ派遣)

検査部ホームページ

平成18年度(2006年)の検査数

  入院 外来
一般検査 131,505 205,744 337,249
血液 390,231 419,138 809,369
血清 14,906 28,291 43,197
臨床化学 688,982 918,208 1,607,190
輸血 14,986 4,388 19,374
細菌 22,468 7,047 29,515
生理 12,451 17,490 29,941
病理 4,198 7,877 12,075
外注 15,033 28,191 43,224
合計 2,931,134

“テクニカルプレゼンテーション・ライブラリ” に検査室再構築のプレゼンテーションを掲載しています。

日本臨床検査自動化学会第38回大会 [2006年10月]

小倉技師長
小倉技師長

高知大学医学部附属病院 検査部では、2006年以来、検体検査自動化システム[Open LA21モジュールシステム] と臨床検査情報システム[CLINILAN LRP Suite] をお使いいただいております。小倉技師長にお話しを伺いました。

Ⅲ. ベルトラインシステムからOpenLA21モジュールシステムへ

■ 世界初のLASを作ったきっかけ

現在もベルトラインの一部を検査室に残している
現在もベルトラインの一部を
検査室に残している

「話は開院一年前にさかのぼります。前検査部長の佐々木教授は、臨床検査技師 5名でいかに検査部を立ち上げるかを常に悩みながら、打合せのために岡山と高知を自家用車で往復されていました。当時検査業務を分析すると、労力の大半を検体の移送に費やしていたことから、検体を自動的に運ぶことを思いつかれました。では、どうやって運ぶか?— そのヒントは、岡山・香川間のフェリーから見えたセメント工場へ石灰を運ぶコンベアだったようです。これが、”ベルトラインシステム”誕生の秘話です。
私は4月に高知大学(旧 高知医科大学)へ赴任し、10月の開院に向けてベルトラインシステムの自作による構築を開始しました。手本も何も無い状態からのスタートですので、工具やベルトコンベア等の部材の買い出しから始まり、試行錯誤を繰り返して新しい装置の開発を行いました。一方では、ベルトラインシステムに賛同を頂いた分析装置メーカのシスメックス、A&T、日立製作所に分析装置の改造を依頼し、検体が分析装置の前に運ばれて来たらサンプリングノズルを出して検体を吸引する機構(現在の外部サンプリング方式)を開発して頂きました。そして、わずか6ヶ月でベルトラインシステムを作り上げて開院時に稼働させました。当初からバーコードを採用するなど、コンピュータ化にもいち早く取り組み、臨床検査領域の自動化・システム化を自作で実現したのは、世界初だと自負しています。その後、産業用ロボットの導入にも挑戦し、多岐にわたって自動化・システム化に力を注いできました。
開院から25年が経ち、ベルトラインシステムだけでなく私たち開発者も老朽化が進み、自作で作り直す時代でもないため購入を考えました。」

ベルトラインシステムの詳細については、検査室見学ツアー「伝説のザ・ベルトラインシステム」(1999年10月見学)をご覧ください。

LAS:A&T/CLINILOG Ver.2 + Bayer/MXS

現在のLAS-Open LA21モジュールシステム-

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LIS:A&T/CLINILAN Ver.7.5

自動分析部門の風景

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■ 国立大で初めてのファイナンシャルリース

「ベルトラインシステムでは導入・維持・更新に使った金額が初期の3年間で2000万円、以後の年間保守は200万円程度でした。これほどまでに安価なシステムだったため、更新の予算化には困りました。LASとLISで定価10何億円という額が認められるはずがありません。しかし、ちょうどその頃に法人化したため、概算要求して・・・という国立の従来の方法をとる必要がなくなり、思い切って国立大学で初めてのファイナンシャルリースを選択することにしました。学内の承認を得るために、検査部としては半年かけて財務諸表を作製し、現状把握を行いました。ちょうどその頃、当院の事務関係者の中にリースに理解のある方がおられ、時期的にも人脈的にもタイミングがよく、非常に早く話が進みました。」

■ Open LA21モジュールシステムの導入効果

LAS:A&T/CLINILOG Ver.2 + Bayer/MXS

試薬代の比較 化学スクリーニング検査

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LIS:A&T/CLINILAN Ver.7.5

TAT調査結果 項目:WBC

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「導入効果は、第一に試薬代の大幅な削減です。化学スクリーニング検査の試薬代についてシステム導入前後のデータがあります(左図)。自動分析装置JCA-BM2250LA Typeを導入したことで、月平均150万円の削減につながりました。最大で300万円削減した月もあります。
第二は、業務の集約です。一般・血液・化学・免疫と分かれていた4つの部門を統合し、「自動分析部門」と「一般・特殊部門」の2部門としました。さらに「検体前処理部門」を新設しました。
第三は、機器の集約です。以前に比べて機器の種類を減らし、統合できました。場所の集約もできました。正直に言いますと、もっともっと集約化した絵を描いていたのですが、最終的にはメタボ(接続台数増)になり、気の緩みは厳禁と痛感しました。
第四は、TATの短縮です。昨年のデータ(左図)のように受付から結果登録までの時間を短縮でき、現在も継続して維持しています。(他のデータはこちらをご参照ください)
第五は、省力化による業務拡大です。学生検診・職員健診の強化や、県との契約による結核検査(クオンティフェロン)の実施、またPSG(終夜睡眠ポリグラフ)検査では生理検査担当者(男性)内での夜間業務体制を導入し、患者さん2名ごとの週2回検査を可能にしました。
以上が現在の導入効果ですが、本音はまだまだ満足していません。私達が理想とする運用ができないためで、特に労力的・人的な効果を出すためにまだまだ改善の余地があると考えています。原因は、検査試薬、自動分析装置、搬送装置の総合的な未成熟さにあり、より高度な機能と連携を今後に期待するしかありません。」

Ⅳ. 検査室全体のリニューアル

■ 部分的更新でなく総合的にリニューアルする意義

「今までの機器およびシステムの更新方法を振り返ってみると、部門単位に更新計画を立てても実際の予算は5~7割程度に削られます。いわば妥協を余儀なくされ、次期更新計画で補おうとしますが予算化された時には”時期遅し”といった状態を繰り返していたように思います。部分投資は無駄の多い投資とも言えます。なぜか?— 技術進歩が速いために、今日はベストでも明日は違うからです。そこで、少しでも広範囲に総合的な更新を一気に実施すべきだと考え、今回は患者受付から検体採取、分析、そして結果報告までをリニューアルしました。
この一括更新はファイナンシャルリースの採用によって実現できました。」

■ こだわりをもった採血室

「検査室の中でも特に外部から評価を受ける採血室は、快適さを最優先にリニューアルを行いました。採血までの待ち時間はゼロにはできません。だったら、快適にリラックスして待って頂こうと考えました。一番のポイントは、検査スペースを減らした場所に中待合室を作って娯楽用テレビを入れ、採血スペースも2倍に広げました。また、プライバシー保護を重視して採血エリアをブース型に変更し、採血のガイドラインに沿った採血台(ピンクのイス)を設置しました。他にも、呼び出し方法を番号と色の表示に変えたり、採血管の自動搬送を導入するなど、全面的にリニューアルを行いました。」

中待合室 奥に採血ブースが並ぶ
中待合室 奥に採血ブースが並ぶ

採血ブースと採血管搬送システム
採血ブースと採血管搬送システム

Ⅴ. 新システムのISO活用術

■ ISO取得でLASやLISが果たした役割

「当検査部は2006年10月にISO9001の認証を取得しました。新システムで一番役立っているのは、ISOのファイルを共有できることです。検査工程の標準化を行うための手順書作成支援ソフト(検査室プロセスデザイナー)で作ったドキュメントをLISにのせて、どの端末からも見られるようにしています。
また、LASやLISからTAT(Turnaround Time/検査の所要時間)などの集計データをとれるようにしていますので、品質マネジメントレポートを毎月作成する際に役立っています。報告用データをすぐ出せるようにちょっとしたプログラムを自前で作りました。将来的にはISO15189の取得を視野に入れていますのでLISの役割は大きいですね。」

■ ISOの改善サイクルで行っていること

「月1回、QMS(Quality Management System)月報をまとめています。
ISO管理者が各部署からの月報をまとめ、部長、技師長、副技師長、各主任に配ります。これを主任会議にかけて吟味し、問題点があれば対処方法を決めて改善します。TAT情報や問い合わせ、トラブルの件数が毎月出るので、継続的な分析に役立ちます。QMS最新号を見ると、最近はトラブル件数がかなり減っていることがわかります。
ISOのレビューには個人評価もあります。個人別に5段階評価で、どの段階まであがってきたかをレーダーチャートに示しています。」

QMS月報 代表7項目のTATも毎月報告

QMS月報 代表7項目のTATも毎月報告

QMS月報集計結果の掲載内容

1.顧客満足
(1) 問い合わせ件数・内容
(2) 各部門へのクレーム・要望とその対応
(3) 職員からの情報
2.製品要求事項への適合性
(1) 検査結果報告時間(TAT)分析
(2) 不適合管理の状況
(3) 装置のトラブル発生状況
(4) インシデント報告の状況
(5) その他の報告
3. クレーム・トラブル報告書の集計
Ⅵ. もっといい医療のために

■ これからも続ける改善

受付と待合スペース
受付と待合スペース

「主な検査業務の見直しはひと段落し、次は、患者さんが一番混み合っている受付の業務を全面的に見直します。受付(1名)では、採尿・採血・生理の混み具合を把握しながら、患者さんの行き先をコントロールします。経験に頼る部分が多く、システムにも他の人にも代われない専門職(神業)です。どんな作業がどのくらいあるのか仕事の洗い出しを始めました。しかし、検査部受付の混雑は検査部だけでは解決できません。外来診療システム・医事システムを含めて、総合的に改善しないと解決しないと思っています。」

■ 病院機能改善 ひまわりプロジェクト

親しみやすい "ひまわりプロジェクト"のロゴマーク
親しみやすい "ひまわりプロジェクト"の
ロゴマーク

「病院全体としても日々改善に努め、病院長直属の”ひまわりプロジェクト”が活動しています。プロジェクトは2つのワーキングから成り立っています。
“サービス向上ワーキング”は、病院長と各部門の代表者約30名が出席し、患者さんおよび職員からの意見や提案を一つ一つ検討します。週1回開催し、素早く対応・報告しています。
“院内環境改善ワーキング”は、看護師長をはじめとして、事務職員やコ・メディカルスタッフ、施設管理担当職員など10名が中心となり、月1回、院内を巡回しながら施設・設備などの掃除や修復をその場で行います。」

Ⅶ. 検査部長より

杉浦部長
杉浦部長

「近年、臨床検査部門も経済的制約の中で、これまで以上にコスト意識を持って検査業務を行わなければなりません。そのため臨床検査には、科学的根拠を保ちつつ検査業務を省力化、効率化することが要求されています。また、検査室に依頼される膨大な臨床データを短時間かつ正確に処理し、診療部門にフィードバックして診療支援をするためには、高度な分析技術やデータ解析能力を備える必要性があり、検査の自動化技術の発展は臨床検査室にとって必要不可欠な領域と言えます。このような臨床検査が置かれている状況を踏まえ、平成18年に”患者さんや診療部門が満足する検査室”を目指して新しい検体系検査総合システムを導入し、検査室の再構築を行いました。臨床検査室は、正確な検査データを迅速に出すことが基本でありますが、検査実施センターとしてのみならず、診療支援部門として質の高い情報を効率的に臨床各科に提供することも必要であります。そこで、検査部職員一同は、今まで通り精度の高い検査水準を維持しながら、検査部の枠を超えて看護部や診療科との連携を深め、チーム医療の一員として円滑な診療業務に貢献していきたいと思っております。」

検査部の案内ならびに掲載許可をくださいました、杉浦部長、小倉技師長をはじめとする高知大学医学部附属病院の皆様に、心より御礼申しあげます。